兵庫県議会議員 くりやま雅史
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議会活動一般質問2009年12月10日 一般質問内容

2009年12月10日 一般質問内容


(1)民主党政権が進める地域主権への対応について

ア ひもつき補助金の廃止と一括交付金化

イ 国への新陳情システム

【口述内容】
 ご承知のように、本年8月30日の総選挙において、民主党が衆議院で308議席を獲得し、9月16日に鳩山政権が誕生致しました。以来、現在で約3ヶ月が経とうとしておりますが、民主党が選挙戦で掲げたマニフェストに記載されている「地域主権」への取組みが、現在までに検討され、徐々に実行されつつあります。
 まず、民主党のマニフェストを確認したいと思います。
マニフェストの大きな5項目の4番目に、『「地域主権」を確立し、第一歩として、地方の自主財源を大幅に増やします』とあります。そして、政策各論の27番では、「霞が関を解体・再編し、地域主権を確立する」とあります。具体策としては、

  • 「国と地方の協議の場を法律に基づいて設置する」、
  • 「国から地方への「ひもつき補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える「一括交付金」として交付する。義務教育・社会保障の必要額は確保する」、
  • 「一括交付金」化により、効率的に財源を活用できるようになるとともに補助金申請が不要になるため、補助金に関わる経費と人件費を削減する」

などの具体策でした。
 続いて、政策各論の28番には、「国の出先機関、直轄事業に対する地方の負担金は廃止する」とありまして、具体策としては、「道路・河川・ダム等の全ての国直轄事業における負担金制度を廃止し、地方の約1兆円の負担をなくす。それに伴う地方交付税の減額は行わない」などと書かれています。
 以上ご紹介したような政策が実行されていくと、地方自治体である西宮市にも大きな影響を及ぼすことになります。
 西宮市に当てはまるところを取り上げていきますと、政策各論27番の3番目と4番目「ひもつき補助金がなくなり、同時にその補助金事務の経費が削減されて一括交付金化され、市としてはトータルの使える財源が大きくなり、地域のニーズに合った税金の使い方が出来る」ということになります。それは、地方分権を希求している地方自治体としては大いに喜ぶべきところですが、一方で、今後は国・政府にお願いすることは少なくなり、地方自治体の自立と責任がなお一層求められることになります。
 各種報道などによりますと、鳩山総理、及び原口総務大臣などから、「これからは基礎自治体主義でいく」と発言されていますので、都道府県よりもむしろ、基礎自治体の西宮市にまさに権限と財源、税源が拡大されることになり、今まで以上に大きな責任を持たなければならなくなります。そして、地域のニーズにあった自治を展開することが可能になります。
 次に、ご紹介したいことが、国と地方との関係で、これまでと大きく変わることになった国への新陳情システムであります。これはもう既にご承知かと思いますが、民主党の小沢幹事長が提案され、体制が整いつつある、新しい形の陳情システムであります。
 ここで少しご紹介すると、まず地方自治体のトップなどが省庁へ陳情・要望をしていた、いわゆる「霞ヶ関詣で」は禁止となり、と言いますか意味がないですよ、ということになっており、これからは全国からのすべての陳情は民主党本部の幹事長室で集約し、各省庁を担当する14人の副幹事長などから各省庁の政務三役へその陳情を伝えるというシステムになりました。
 では、陳情を民主党本部幹事長室まで届けるまでのその過程をご紹介しますと、幹事長室までにステップがありまして、まず地方自治体が陳情する先の第一歩は衆議院の小選挙区にあたる民主党の総支部、代議士ということになります。民主党代議士がいなければ地方議員など総支部ということになり、その後は民主党の各都道府県連に届けられ、県全体の陳情が集約されます。都道府県連では国会議員をはじめとした「政策推進調整会議」なるものの中で、陳情内容が妥当であるかという精査がされることになります。そうした過程を踏まえて、最終的に民主党幹事長室に届くということになります。
 そして、陳情が採択されるのか、されないのかですが、陳情は都道府県連と民主党幹事長室、そして各省庁の政務三役、それぞれの立場で、全国から集まってくる陳情を、公平・公正、そして合理的な判断をもって精査することになるので、場合によっては採択されない陳情が出てくるのは必至であります。そうなると、今までのような「我が市だけよければ」という、いわゆる「出し抜け」はなかなかできないことになります。

 それでは、ここで質問をします。
 まず、新政権が平成23年度からの実施を目指しているひもつき補助金といわれる事業は、本市の平成21年度当初予算ではどういう事業があるのか。(Q1)また、その事業に関わる国費、つまり国庫支出金のうちの国庫負担金、国庫補助金、国庫委託金は、平成21年度当初予算一般会計・特別会計の合計でいくらになるのか、お答えください。(Q2)また、マニフェストに書いているように、義務教育・社会保障の費用を除いた場合では、どのぐらいの国庫支出金になるのか。(Q3)
 さらに、算定基準はまだ明確になっていませんが、一括交付金化が進められるとして、地方交付税等を除いて、本市にとって必要だと思われる一括交付金の額をお答え頂きたいと思います。(Q4)

 次に、先にご紹介した新陳情システムの影響によって、国へ要望したい様々な陳情が、必ずしも当地の代議士の力や、市トップによる省庁へのお願い行脚というものでは実現できなくなる訳でありますが、まず確認したいのですが、本市が今後国に要望・陳情したい事業には現在どんなものがあるのかお答えください。(Q5)
 そして、その要望・陳情項目が、国では優先的に採択されない場合、いつまでも実現されない可能性が当然出てきます。その際、本市がその事業を強く望む場合、例えば国道176号線などですが、道路法及び地方財政法によりますと、現状では市が国に代わって事業を進めるということができませんが、市は今後国や都道府県になどに対して、どのような取組みをなされるおつもりか。法の規制緩和などは必要と考えるか、お聞きします。(Q6)

【総務局長 答弁】
 まず、1点目及び2点目のひもつき補助金と言われるものは本市ではどういう事業があるか、また全体ではどの程度になるのか、とのご質問ですが、ひもつき補助金とは、先の衆議院議員総選挙前に民主党が発表したマニフェストの中で、国から地方への「ひもつき補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える「一括交付金」として交付すると記述されており、それ以前にも国会の質疑等でたびたび触れておられます。これは、国から地方自治体等に対し、予め使途を定められ地方自治体等の裁量は制限されております特定補助金のことで、いわゆる国庫支出金のことであります。この国庫支出金につきましては、国から直接交付されるものと、県を経由して交付されるものがあり、本市では、平成21年度当初予算の一般会計及び特別会計を合わせまして、約288億円であります。主なものとして、生活保護費、障害福祉サービス費等事業費、また国民健康保険の療養給付費負担金等があります。なおこの中には、既に国に対して事業計画が認められ、後年度の事業に国庫支出金を必要とするものがあり、それらの対象事業分の国庫支出金は、21年度当初予算時に債務負担行為の設定や継続費または国に複数年度の事業計画を提出している事業としまして54億円程度であります。
 次に3点目の義務教育・社会保障の費用を除いた国庫支出金の額は、どのくらいかとのことですが、社会保障につきましては、厚生労働省の資料では「社会保険、社会福祉、公的扶助等国民の生活を生涯にわたって支えるもの」となっており、具体的には医療保険、社会福祉や生活保護等で、これら社会保障関連と義務教育関連の予算を除いた額は、平成21年度当初予算ベースで、まちづくり交付金や循環型社会形成推進交付金や地域住宅交付金等の事業、約12億円であります。
 4点目の一括交付金となった場合の本市の必要額ですが、交付金の詳細な点は、現時点では不明ですが、発表されております資料等によりますと、平成23年度から実施を目指すと言われております。
 必要だと思われる額については、現在の補助金制度が、福祉・教育関係や道路整備などの投資的事業等を実施するにあたり、非常に重要な財源であります。この制度が全て廃止となり、一括交付金となりましても、これらの事業は続けていく必要があると考えております。一方では、景気の悪化により市税が減収となるなど、財政状況は悪化しており、今後、厳しい財政運営を強いられると予測しております。
 現時点におきまして、一括交付金がどのように積算され、交付されるのか分かりませんが、先ほども申しましたように、厳しい財政状況の折、もし制度変更により従来の補助金制度より減額となるようなことになれば、財政状況は更に悪化することとなりますので、一括交付金となりましても、現在の補助金制度と同額の財源の保障は必要であると考えております。

【市長職務代理者 河野副市長 答弁】
 民主党政権が進める地域主権への対応についてのご質問のうち「国への新陳情システム」について、私からお答えいたします。
 従来、本市では他の多くの自治体と同様に、本市の置かれている状況や重要な課題等について、「要望・陳情」という手法を用いて関係議員をはじめ、関係省庁に理解をいただき、その解決に向けてご支援をいただく取り組みを行ってまいりました。
 本市が国に対してこれまで要望・陳情を行ってまいりました事案といたしましては、まず、国道176号「名塩道路」の整備促進がございます。これにつきましては、「一般国道176号整備促進期成同盟会」の会長市として、また市独自でも、市長が上京し、関係省庁ならびに国会議員の方々に継続して要望してきたところでございます。
 また、他の自治体と共通する課題などについては、兵庫県市長会や全国市長会あるいは地方六団体を通じて、また、関係自治体と個別に協議会を設置し、国に要望・陳情を行ってまいりました。具体的には「災害援護資金貸付金の償還期限の延長」や「在日外国人の無年金者等の救済」、「治水関係予算の確保」などでございます。
 また、知事と面談し、県政に対する要望を行うときにも、「公立保育所の施設整備」などについて、県から国へ働きかけていただくようお願いしております。
 今後も、継続して要望している事案をはじめ、新たに生じた課題につきましても、新しい陳情システムの推移を見守りながら、これに基づく陳情を行いますとともに、併せて要望事項の実現のために地元選出の国会議員にも支援方養成することを含めまして、適切に対処して参りたいと考えております。

【総合企画局長 答弁】
 民主党政権が進める地域主権への対応についてのご質問のうち「国への新陳情システム」について、市長職務代理者がお答えした以外をお答えいたします。
 まず、陳情が採択されなかった場合の今後の対応ですが、本市の課題等につきまして、新しい陳情の仕組みに従って、西宮市選出の国会議員をはじめ、県下選出の議員の方々に対して陳情の趣旨、内容等をよくご理解いただけるよう改めて説明に努めるなど、粘り強く取り組んでまいたいと考えております。
 また、地方行政を進めるにあたって、道路法や地方財政法などの法の規制緩和は必要と考えるか、についてですが、これまでは国、県、市がそれぞれの責任と権限に基づいて事業に取り組み、住民福祉の向上に努めてきたところでございます。
 ご質問にありますように、法の規制緩和により、国に代わって自治体で事業実施ができるようになった場合にあっても、権限委譲の推進と、自治体が担う事務と責任に見合う財源が確保されることは言うまでもなく、事業の担い手となる自治体の組織、人員体制の整備や事業遂行能力が備わっていることが必要であると考えております。
 国と地方の枠組みについては、道州制や広域連合など、地方分権をふまえた新しい仕組みが議論されており、また政権公約においても、中央集権制度を抜本的に改め、基礎自治体を重視した地域主権を確立することとされており、今後、こうした動きにも注目してまいりたいと考えております。

意見・要望

 このひもつき補助金廃止、一括交付金化については、政府は平成23年度からの導入を目指されておりますが、まずは都道府県から導入との報道があります。本市に導入されるのはさらに後年度になると思います。
 さて、答弁では平成21年度当初予算でのひもつき補助金といわれるものは、一般会計・特別会計を合わせて約288億円で、義務教育と社会保障の費用を除いたものでは約12億円とのことでした。思ったよりも少ないなあというのが率直な感想ですが、12億円はもちろん大きな金額と言えます。
 また、今年度以降の後年度で、既に事業を認められている国庫支出金は約54億円程度あるとのことですが、これについては現在カットすることはないと聞いておりますが、政治は生き物でもございますので注視が必要と思っています。同時に、このひもつき補助金廃止、一括交付金化の流れの中で、政府が現在ある補助メニューを徐々に廃止していくことも当然考えられますで、その点も注意をいただきたいと思います。

 答弁にもありましたように、本市だけでなく、景気の悪化により自治体の財政は大変厳しい状況を迎えそうです。国は「地方に自主財源を大幅に増やします」とも言っておりますが、本市としては国が一括交付金の算定基準の考え方を定める前に、本市にとっていくら必要であるかをイメージしておくことが重要と考えます。仮に今年度の12億円以上の一括交付金が毎年あるとしても、ただそれを期待するだけでなく、本市が必要な金額の根拠をきちんと明示するぐらいの気持ちを持っておいたほうが良いと考えます。
 以上のようなことを踏まえて、国との財政関係については、気持ちの切り替えを徐々にしていく必要があると思います。

 次に陳情システムの件ですが、これも気持ちの切り替えが必要になると思いますが、国に対して陳情・要望をして汗を流しても、必ずしも報われないことがこれまで以上にあると想定されます。全国的に見て、本市の要望が優先的にならない場合は、ただクールにその結果を突きつけられることになります。地方自治体を預かる立場として、住民の声をどう実現するのか、国との関係をどのように作り上げるのか、考えていただきたいと思っています。
 この陳情システムについては、まだ発足したばかりでもございますので、運営等にはまだまだ変化があろうかと思いますが、市におかれましては陳情先との関係を緊密に取りながら、柔軟な対応をお願いしたいと思っています。

(2)住宅政策ビジョンについて

ア リフォーム政策等

イ 多様な賃貸住宅の整備

【口述内容】
 民主党マニフェストの政策各論の44番には「環境に優しく、質の高い住宅の普及を促進する」とあり、目的には「住宅政策を転換して、多様化する国民の価値観にあった住宅の普及を促進する」と書いてあります。具体策としては、「リフォームを最重点に位置づけ、バリアフリー改修、耐震補強改修、太陽光パネルや断熱材設置などの省エネルギー改修工事を支援すること」や、「建築基準法などの関係法令の抜本的見直し」、「多様な賃貸住宅を整備するため、家賃補助や所得控除などの支援制度を創設すること」などが掲げられています。
 住宅政策については、民主党は政権を担う前から「民主党住宅ビジョン」というものを発表していました。その考え方は、こういうものであります。
 『住宅政策は最大の内需拡大策であり、中小企業対策や雇用対策にもつながる重要な経済政策です。住宅投資は2006年度のGDPで3.4%にも相当します。住宅群はまちづくりや景観、観光政策上の「資源」となり、生活から生まれた「文化」を形成する要素となり、地域経済発展の重要な可能性を持っています。また、国土の7割を占める森林からもたらされる国産木材を活かし、自然環境と共生する伝統工法などによる木造住宅を普及することは、「緑の成長戦略」として重要な柱となります。』
 このような考え方のもとで政策を実行していけば、現在国民の多くの悩みとなっている住宅に関する問題を解決できるのではないかと思います。
 それは、ローン支払い後の資産価値や快適性も十分とは言えない住宅に住まざるを得ない状況を改善することであり、また高齢者が安心して快適に暮らせるようにすることであります。また、生活困窮者に対するセーフティーネットとして、公営賃貸住宅を整備することも重要なことでありますし、同時に障碍者や子育て世帯などにも対応できるような機能を備えた賃貸住宅の充実などを本市も考えていかねばなりません。
 それでは質問します。民主党マニフェストの住宅政策の中で最重点に位置づけられている「リフォーム政策」についてと、「多様な賃貸住宅の整備」についてを質問させていただきます。
 まずリフォーム政策であります。日本のリフォームは成熟したアメリカの市場に比べると、考え方も制度もまだまだ未成熟なところがあります。例えば、新築では必要な建築確認が、リフォームでは必要がありません。このような状態でリフォーム政策が進めば、悪質なリフォーム工事が増加することなど、市民に不利益になるというようなケースが出てくることも考えられます。
 そこで、質問をします。この点については国にも伝えていかなければならない点だと思っていますが、リフォームに関しても建築確認を実施するなど、住宅の質を担保できるような制度を本市としても考えるべきだと思いますが、その点はいかがお考えでしょうか。市独自の制度を確立することは可能でしょうか。(Q1)
 次に、国は本年4月から住宅リフォームの助成制度として、減税制度や補助制度、融資制度を実施していますが、本市には既に住宅融資制度がありますが、リフォームを促進するその他の制度を準備するお考えはあるのか、お聞きします。(Q2)
 次に、リフォーム対象となる住宅がいったい本市にどのくらいあるのか知りたいのですが、本市にはまず住宅がどのくらいあるのか、その総数をお聞きします。特に新耐震基準の制定された昭和56年の前後で分けるとどのような数になるのか、そしてそのうちの木造住宅の総数はどのくらいになるのか、ご回答願います。(Q3)

 次に、多様な賃貸住宅の整備についてであります。
 「多様な賃貸住宅」というものが意味するのは、おそらく高齢者や障碍者、子育て世帯など特別な配慮が必要な方々にも快適で、便利に生活できるような住空間を提供することであると思いますし、また部屋の大きさを広くしたり、分割したりすることができるなどの可変性などが多様性と考えられますが、多様な賃貸住宅というものにはどんな種類のものが他に考えられるのか、お聞きします。(Q4)同時に、現在本市が進めている甲子園九番町住宅における多様性についてはどうであるのかについてもお答え願います。(Q5)

【都市局長 答弁】
 まず1点目の「リフォーム政策等」についてのご質問のうち、1つ目の「リフォーム住宅の質を担保する制度」についてでございますが、現行の「建築基準法」では、柱や屋根などの主要構造部それぞれについて過半の修繕、模様替えを行わない限り、単にリフォーム工事ということだけでは、建築確認申請を行うことが義務付けられておりません。
 新築住宅の場合は、「建築基準法」に基づく建築確認申請が一律に義務付けられているほか、本年10月1日から本格施行されました「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」で、10年間の住宅の瑕疵に対し、売主または請負人に、保険加入又は供託のいずれかで対応することを義務付けることにより、実効性のある瑕疵担保責任が可能となるなど、新築住宅購入者の保護の観点などから、一定の法整備がなされてまいりました。
 一方、リフォーム住宅に対する明確な瑕疵担保責任の保証制度はございませんが、住宅の性能を評価する「住宅の品質確保の促進等に関する法律」があり、リフォーム住宅についても、この法制度を適用することが可能です。これは、住宅が備えるべき基本的な性能として、耐震性、防火性、シックハウス対策等に関することなどを数値で示し、住宅の性能を評価する制度でございます。
 この業務は、国が指定する評価機関が第三者機関として行いますが、あくまで任意の制度であり、義務付けの制度とはなっておりませんので、購入者の保護の観点などからは、制度上は十分とは言えない状況でございます。
 このような状況の中、今後、関係する法改正の動向を見守りながら、市としてリフォーム政策においてどのような取り組みが必要か、そのためにはどのような制度が必要か、などについて研究してまいります。

 次に、2つ目の「リフォーム促進のための融資制度等」についてでございますが、現在本市で取り組んでいる既存住宅のリフォームに関連する制度といたしましては、ご自身がお住まいの住宅を増築・改築・修繕をする場合に、金融機関からの融資をあっせんする、「住宅整備資金融資あっせん制度」のほかに、助成制度として、耐震補強改修に関するものと、バリアフリー改修に関するものの2つがございます。
 耐震補強改修に関するものといたしましては、昭和56年5月以前に着工した住宅を対象に、県の「わが家の耐震改修促進事業」に対する市の上乗せ補助と、どうしても現行の耐震基準にまで改修できない場合に、最低限、居住されておられる方々の生命を守ることを目的とした、市独自の耐震改修の助成制度がございます。
 また、バリアフリー化に関するものといたしましては、60歳以上の高齢者等がお住まいの住宅をバリアフリー化する場合や、分譲共同住宅の共用部分をバリアフリー化する場合に、県と共同して助成する、「人生80年いきいき住宅改造助成事業」がございます。
 これらの制度につきましては、引き続き、制度内容の周知を図るなど、適切に運用してまいります。また、さらに必要な施策等についても研究をしてまいりたいと考えております。

 次に、3つ目の「リフォームの対象となる住宅数」についてでございますが、5年ごとに総務省が行います、「住宅・土地統計調査」の平成15年度調査結果によりますと、「居住世帯のある住宅」は、本市に約17万7千戸あり、このうち木造住宅は、防火対策が施されたものを含めて約6万1千戸でございます。そのほかに鉄筋・鉄骨コンクリート造のものが約10万3千戸、鉄骨造のものが約1万2千戸などとなっております。
 また、建築時期別の住宅数でございますが、昭和56年の新耐震基準以前に建てられた住宅数は、約5万2千戸であり、昭和56年以降は約17万7千戸でございます。この5万2千戸の内訳といたしましては、木造住宅が、防火対策が施されたものを含めて約2万1千戸、鉄筋・鉄骨コンクリート造のものが約2万9千戸、鉄骨造のものが約2千戸となっております。
 なお、この住宅・土地統計調査は、昨年度にも行われておりますが、この調査結果については、来年3月頃に公表されると聞いております。
 住宅のリフォームに関する問題は、本市におきましても今後の住宅政策における最重要課題の1つであると認識しており、現在改訂作業中の住宅マスタープランにおきましても、重点施策として取り上げてまいりたいと考えております。

 次に、2点目のうち、1つ目の「多様な賃貸住宅」についてでございますが、賃貸住宅の場合には、借主が間取りを変更したり、使いやすいように改造するといったことは、一般的には、難しいと考えられます。従いまして、高齢者、障がいのある方、子育て世帯などに対して、バリアフリー化等が完備し、支援施設に近接しているなど、機能的に配慮がある住宅や、それぞれの収入、家族構成、生活の状況等に応じた、多様な家賃、間取り、広さ等の希望に沿う住宅など、全ての人が、安全・安心・快適に生活できるための、様々な種類の賃貸住宅が必要であると考えております。

 最後に2つ目の「市営甲子園九番町団地第1期建替事業」の多様性に対する整備方針についてでございますが、まず、今回の建替事業で整備いたします、市営住宅280戸については、将来的に多様な家族構成の入居者にお住まいいただけるよう、様々なタイプの住戸を計画しております。
 住戸の仕様につきましては、将来的なライフスタイルの変化への対応や建物の長寿命化という観点から、いわゆる可変型住宅でありますスケルトン・インフィル住宅仕様が提案されており、将来的な間取り変更を容易にしております。また、単身者向けの住戸(1DK)につきましても、2住戸を隣同士に配置し、将来的に壁を抜いて4DK等の住戸に容易に変更できるように計画しております。

意見・要望

 「リフォーム住宅の質を担保する」ことについてでありますが、リフォームにおいて、国が建築確認などの法整備がまだできていないという状況でございますので、これはまず私からも代議士を通じて国へと意見を申し上げていきたいと思います。同時に、本市においても、リフォーム住宅の質を担保できるよう、市独自でできることがあれば、積極的に進めて頂きたいと思います。
 次に、「リフォームの対象戸数」ですが、答弁によりますと、昭和56年の新耐震基準以前に建てられた住宅数が約52,000戸で、このうち木造住宅が21,000戸ということでありました。昭和56年以前となると、28年以上が経過しているものになります。これらの木造住宅21,000戸がまず耐震基準を満たすためのリフォームや改築が必要でしょうし、また昭和56年以前の52,000戸については今後、順次リフォームが必要な住宅となっていきます。その点、十分認識の上で、家屋所有者へリフォームの呼びかけ、制度の周知などをはかり、市民の安全、安心、快適を確保できるよう、努力していただきたいと思います。政府も住宅版エコポイントを進めるようでありますから、来年度はこのチャンスをぜひ活かしていただきたいとも思います。
 次に、「多様な賃貸住宅」の件ですが、機能的な面においては、最近では生活音に敏感な方も多いと聞いていますし、また楽器の演奏なども可能とするような防音機能を備えた部屋の提供があっても良いかなと思います。人々のライフスタイルは少しずつ変わっていきますので、それに対応できるような賃貸住宅の提供ができるよう、官民を問わず、多様な賃貸住宅の整備を続けていただきたいと思います。甲子園九番町住宅につきましては、その先駆的な役割を果たしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(3)「地域猫」の考え方について 〜野良猫による住民被害と地域共生〜

ア 「地域猫」という政策へ転換した是非

イ 住民と野良猫対策活動員などのトラブル

ウ 住民の生活環境は守られるのか

【口述内容】
 皆さんにまず質問があります。もしあなたの街で、野良猫にエサをやっている人を見かけたら、あなたはどうしますか?どう思われるでしょうか?
 おそらく多くの人が、「エサをやってはいけない」と思い、時には勇気をもってエサをやっている人に注意するのではないでしょうか。しかしその注意は今、極端に言えば間違った行為とも言えるのです。それがどういう意味だかおわかりでしょうか?それは後ほどご紹介したいと思います。
 今回の質問は、野良猫対策として市が平成20年7月から導入している「地域猫」という考え方を根拠に、地域から許可を得ずにエサやりを続けているある市民と、その野良猫たちがする糞や尿、花壇を荒らすなどの被害を受けている住民たちとのトラブルが発端であります。
 実際にあった事例をご紹介します。本年10月のことです。
 甲風園二丁目のある住民の方が、夜遅くに家の近くの駐車場で、数匹の猫をあるケースから解放して、エサをやっている女性を見付けました。住民の方は、「猫を捨てないでください。無責任なエサやりもやめて欲しい。野良猫が増えるじゃないか」と注意しました。その他、「エサの残骸の後始末などが不十分であったりして、悪臭が漂ったり、害虫やカラスが集まってくること」や、「庭に糞や尿をされて迷惑をしていること」などを、そのエサをやっている女性に言いました。しかし、そのエサをやっている人は、動物愛護の名を語り、「これらの猫は不妊手術を施したものだから大丈夫だ。猫ちゃんたちにエサをやらなければ可愛そうだ」と、住民の注意を聞き入れず、エサをやり続けたそうです。
 注意をした住民の方は、埒があかないと判断し、地域の自治会長さんに即座に相談に行き、一緒に現場でエサやりをしている女性と話を続けられました。しかし、その女性の主張は変わらず、自治会長さんが「とにかくきちんと話し合いをしよう」ということで、近くの交番で警察官の立ち会いの下、お話をされたそうです。深夜のことです。しかし、交番でもお互いの主張は平行線で、しかも注意をされた住民の方がエサやりをした女性に、「あなたはどこに住んでいるのか、なんという名前か」と聞いても、頑なにお答えされなかったそうです。
 そして翌日、その話を聞いた私は、西宮市としての行政の問題もあるのではないかということで、後日、西宮市の担当課である生活環境グループ長と、その専門部署である動物管理センターの方々にも間に入っていただき、住民の方々と、エサやりをしていた女性との話し合いの場を設けました。エサやりをされていた女性は、市で動物愛護推進委員と認められている方をはじめ4人でお越しになりました。
 私はこの話し合いの場を設けることによって、何らかの解決ができるものと考えておりましたが、2時間以上話合っても結果的に何の解決策も見いだせませんでした。そして、今もエサやりは毎日続いており、糞や尿などの被害が続いています。

 さて、それではここで質問に移りたいと思います。
 市は、平成20年の7月より前は、野良猫を増やさないために「エサやり禁止」という考え方で、啓発・普及活動を何年も行ってきました。過去の環境衛生協議会で配布されたチラシにもそのように書かれていました。今や多くの人が、「野良猫にはエサをやるべきでない」という考え方で正しいと認識しています。しかし、横浜市磯子区や、神戸市灘区、尼崎市などが「地域猫」への取組みを始めたことを期に、平成20年7月から「地域猫」という考え方をもとに、野良猫を捕獲して不妊手術をする際に、助成金を出す制度をスタートさせました。そして、不妊手術をした猫をもと住んでいた地域に戻して、適切な指導のもとエサやりをしても良いという方針に転換しています。
 それでは、この件について、大きく3つに分けて質問をします。

 一つ目は「ア 地域猫という政策へ転換した是非」であります。

  • (Q1)まず、この「地域猫」という考え方が、本当に効果のあるものなのかどうか、どのような事例・数値をもとに判断されたのか、お答えください。おそらく、実際にどこかの市の事例で、野良猫が減ったということを主張するのでしょうが、野良猫をすべて捕獲できるわけでもないのに、どうして数えたのかと疑問に思うところです。もし減少したということならば、その調査方法がどのようなものだったか、教えてください。
  • (Q2)この「地域猫」という考え方に政策転換をする際に、本市の住民や地域からのコンセンサスや理解を得るなど、適切なプロセスは行われてきたのでしょうか。
  • (Q3)地域がこの考え方に「No」という判断をくだした場合、その判断は受入れられるのか。選択肢はあるのか。お答えください。
  • (Q4)市内に33名いらっしゃるという「所有者のいないねこ対策活動員(以下、野良猫対策活動員と言います)が、野良猫に不妊手術を施す場合の助成金を市に申請する際には、地域代表者の自治会長等から「活動合意書」というものを必要とすることになっていますが、多くの自治会長等はこういった制度や政策の転換を知らないのではないかと思いますが、どのぐらいの自治会長さんが認識されておられるでしょうか。
  • (Q5)この「地域猫」の考え方では、「人と猫が共生する街づくり」を目指しておられていて、地域の理解のもとに野良猫対策を行っていくことになっていますが、今回のケースの場合、地域に理解を得ないままにエサをあげ始めてしまっています。このような事態によって、大変迷惑をしている住民がいる場合は、市はどういう対処をされますか?何ができるのでしょうか?エサやりをやめるよう指示、命令ができるでしょうか?
  • (Q6)「地域猫」の考え方を巡って市民同士が諍いを起こし、何の罪もない猫を人間同士の間に挟んで、結果として猫が例えば殺されるなど、動物愛護とは全く逆の結果を招く悲しい出来事に発展することも考えられますが、それで良いのでしょうか。同時に、野良猫をめぐって、地域の人間関係の悪化にも発展しかねないが、そういった場合に市は対処できるのかどうか、お答えください。

 次に、「イ 住民と野良猫対策活動員などのトラブル」として、野良猫対策活動員のことを中心に質問をします。

  • (Q1)野良猫対策活動員を認定する時に、市は面談を行っているそうですが、どのような基準で合否の判定をしているのでしょうか。例えば愛玩動物飼養管理士の資格を持ち合わせることなどを条件とするような考えはあるのでしょうか。十分な知識もない方を安易に認定した場合、時に不幸な結果を招くこともあるのではないでしょうか。どうお考えでしょうか。同時に、野良猫対策活動員として不適切な行動を取った場合、市はどう対処されるのでしょうか。その任免責任などについてはどうお考えでしょうか。
  • (Q2)野良猫対策活動員が指導する内容についてですが、エサやりをする場合、自分の居住する地域以外に出向いてエサをやること、また、地域に無断でエサをやる行為を許しているのでしょうか。
  • (Q3)エサやりをするボランティアや、野良猫対策活動員さんは、住民からエサやりをするなと注意されて、時には身に危険を感じるようなことがあるそうで、夜中にヒッソリと行動するらしいのですが、このような状況を改善するためにはどうすれば良いとお考えか。ボランティアや対策員さんに腕章などを着けさせて、正当な活動であることを表示させるべきではないでしょうか。

 次に、「ウ 住民の生活環境は守られるのか」として、生活環境について質問をします。

  • (Q1)「地域猫」という考え方がまだ十分浸透していない現在、「地域猫」の考え方が正しいとして、野良猫対策活動員さんたちがいろんな場所でエサやりをしている姿を市内で多く見かけることなった場合、地域猫の考え方を知らない市民が安易に「エサをやってもいいんだ」と勘違いしまうようなことが考えられますが、そのリスクについてどのように考えますか。またその結果、不妊治療を施されていない野良猫たちが集まって、さらに繁殖させるという可能性もありますが、その点についてどう思われますか?
  • (Q2)「市民の快適な生活を確保する条例」第12条では、「犬のふんの放置の禁止」という、犬に関するものはありますが、猫に関する糞については記載がありません。犬に関しては所有者が特定されるので、条例でこういった呼びかけができるのかも知れませんが、猫の所有者には呼びかけができていません。猫の糞も同時に快適なものではありませんが、これは法制化できないのでしょうか。猫の生態を考えると、猫は首をつけて散歩させるのではなく、人間とは完全に離れて自由勝手に行動するものなので、糞などについてはどうしようもないという主張になるのでしょうが、住民はまさにその「どうしようもない」ということで、快適ではない生活を強いられています。市民が快適な生活環境を確保できるようにするには、市はどういうことができるのでしょうか。お答えください。

 最後に「その他」として。

  • (Q1)こうしたトラブルのタネを巻き起こしてしまっている「地域猫」という考え方を市が導入し、「エサを与えるな」から大きく政策転換した責任について、市はどのように考えるか。方針転換したことに問題はないと考えるか。
  • (Q2)地域猫の考え方が間違いないと思われる場合は、その考え方を多くの市民に理解してもらう必要があると思うが、今後きちんと多くの市民に理解してもらうように、どのような効果のある広報、普及、啓発活動を行うのか。
  • (Q3)地域が「地域猫」の考え方を理解し、野良猫と共生する道を選択しても、猫嫌いの方もいらっしゃいますし、糞・尿などの被害が絶えることはありません。住民の中で被害を感じている人や、何らかの対策を講じて欲しいと希望する市民に対し、市は何が出来るのでしょうか。
  • (Q4)街を歩いている猫は飼い猫なのか野良猫なのか、首輪をしていない猫が多くいるので判別がつきません。犬は狂犬病予防法で野良犬は処分されており、首輪をしていない犬はほぼ見かけませんし、散歩している犬は人間が必ずリードを持っているため、その犬が誰のものであるか確定しています。猫にも飼い猫であるかないかを判別するために、首輪の義務づけなどを法制化できないでしょうか。そして、飼い猫であれば「室内飼い」を徹底させることはできないでしょうか。

【健康福祉局長 答弁】
 3番目の「地域猫」の考え方の御質問について、お答えいたします。
 まず、1点目の「地域猫」と政策へ転換したことについてで、ございますが、「地域猫」とは、地域に生息する野良猫に対し、地域の住民が不妊手術をして、餌場の清掃や糞の清掃等の管理された猫として、地域に認められた猫であります。そういう活動を最初に始めたのが、横浜市磯子区で、野良猫が異常に増え過ぎたことによる苦情や近隣トラブルを減らすための一つの対策として、始めました。本市の野良猫対策は、これまでの不適切な餌やりの注意、捨て猫禁止等の啓発、普及活動に加えて、新たに地域猫の考え方を導入したものです。地域猫活動が、野良猫を減らすための効果的な施策として示されるデータ等はありませんが、野良猫の繁殖力の高さを考えますと、不妊手術をして繁殖を抑えることは、効果的であると考えております。本市は、平成20年度から「所有者のいない猫不妊手術助成金制度」を始めました。その際、環境衛生協議会役員への説明、市政ニュース、市ホームページ等の広報による周知をしておりますが、全市の自治会長が助成金制度を認識しているかの調査を行っておりません。ただ、活動合意書の提出等から推測しますと約1割であると思われます。また、地域住民に十分周知出来ていないとの指摘もあり、助成金制度のことや地域猫の考え方を周知するため、今後、自治会にチラシ配布、苦情がある地域には職員が行って説明するなど広報活動をより一層積極的に行ってまいります。地域猫活動を地域が認めないというのであれば、活動は出来ないと考えております。あくまでも地域住民の合意のもと実行できる活動であると考えております。事例にありますような、地域の合意もなく、不適切な餌やりによって近隣に迷惑をかけている場合は、人間関係のトラブルに発展しかねないため、迅速に状況を確認し指導してまいります。また、猫の糞尿で迷惑を被っている苦情者には、猫が近寄らないとされる方法を助言し、希望者には、猫が嫌がる刺激臭のある木酢液を無料で配布しております。なお、野良猫による苦情があった地域で、助成金制度を地域の合意のもと利用した地域からは、苦情はなくなり、3地域の自治会長から得た情報では、野良猫が減ったと聞いております。また、今年度の動物管理センターに引き取りを求められた子猫の頭数は、昨年同時期に比べ約60頭減少しております。
 地域猫という考え方を市が導入し、「エサを与えるな」と政策転換した責任についてですが、市としては、従前より不適切な餌やりへの注意は指導しておりましたが、さらに野良猫問題の解決への取り組みの1つの方法として提案させていただいているものであります。この施策によりトラブルに発展しない様に更なる啓発を行ってまいります。市内には餌やりへの合意形成が取れていない地域でのトラブル等もありますが、現実として、効果があったと報告を頂いている地域もあります。また、動物愛護行政からすれば、地域猫活動が年間殺処分される子猫の処分頭数を減少させるために寄与しているものと考えておりますので、この助成金制度は継続してまいります。
 次に、所有者のいない猫対策活動員等についてですが、活動員になるには、センターの職員と面談しなければなりません。認定する際は、動物愛護飼養管理士を資格要件とするような規定はありませんが、野良猫の不妊手術、その後の餌やり、糞の清掃、苦情対応を責任を持って行うことが出来るという条件があります。活動員は、住所地以外の地域で餌やりを行う場合は、地域の合意が必要であると考えております。活動員は、市から交付した活動員証を常時携帯しておりますが、指摘された腕章や不適切な餌やりだと誤解を招かないように、啓発用ゼッケン等を付けることも今後、活動員と協議の上、考えて行きたいと思っております。また、地域で活動する場合は、地域の合意形成が必要ですので、合意が取れない状況で活動をして地域に迷惑をかける場合は、不適切な活動に該当しますので、場合によっては罷免が出来るものと考えております。
 最後に、野良猫によって迷惑を被っていることが、快適な市民生活を確保するという観点からすれば、条例での規制も考えられますが、野良猫に所有者がいないことで管理責任が問えないことや地域での猫の生息状況や考え方等の対応が異なるため、一律に条例で規制していくことは難しいと考えております。飼い猫については、首輪等の義務付けは困難であると思われますが、飼い方の指導で、室内飼い、首輪や名札を付ける、不妊手術をする、猫を遺棄しないようにする、といった啓発を今後も継続してまいります。

意見・要望

 まず、地域猫という取り組みは、効果があるかないかという点ですが、答弁では動物管理センターに引き取り処分を求められた子猫の頭数は、昨年に比べて60頭減少したと言っておられて、効果があると言っておられます。しかし逆に、これも答弁にありましたが、この地域猫活動が効果的であることを証明するデータ、つまり地域の野良猫の数がどうなったかというデータは、本市には無いといっておられますし、他市にもないはずです。野良猫の捕獲は難しい、してはいけない。だからやれない、やらない。という訳で、野良猫が減ったか、減っていないかは、人間の感覚によるものになっていまして、まあ人間がどう感じるかが大事だとすればそれで良いのでしょうけれども、効果ということでは不明なところがあります。
 また、答弁では地域猫の取り組みをしている3地域から野良猫が減少したという報告を受けているとのことでしたが、まず地域猫の取り組みをしているのは市内全域で32地域ということですので、減少したという報告は約9%に過ぎません。その他の地域はどうなのでしょうか。さらに言うと、市内の全地域、つまり単位自治会などの数ですが、2005年の地域団体名簿で確認しますと448あり、448の自治会などのうち、地域猫に取り組んでいるのはまだ32地域、全体の約7%しかありません。先ほどの3地域で野良猫が減少したということであっても、市内全域では約0.6%にしか過ぎません。
 さらに一つ気になるデータがあります。猫に関する苦情件数のことです。毎年増えているのです。市全体で、平成18年度では12件、平成19年度では13件、平成20年度では22件、今年の平成21年10月末、7ヶ月経過時点でもうすでに20件に達しています。市内ではまだまだ野良猫被害を感じている地域があるということですし、増加傾向にあると考えられます。地域猫の取り組みが本当に効果的ならば、この苦情件数をもっと減らすべく、またもっともっと市民に知ってもらえるように、効果的な啓発をしなければいけないでしょう。市はまだまだ努力をする必要があります。教育の現場でも是非取り組んでいただきたいと思います。
 さて、今回の地元甲風園の件です。自治会としては「地域猫の考え方」を導入してはおりませんが、ご紹介したように地域の同意もなく、ボランティアの気持ちでエサやりをされている人がいて、その結果、住民の多くの方々が糞や尿の被害に困っているという状況が続いています。近隣住民が「エサやりをやめて欲しい」と言っても、エサやりをする人は「じゃあ、猫が死んでしまうじゃないか」と反発されますし、市も「エサをやってはいけないとは言えない」とおっしゃいます。一体どうすればよいのでしょうか。地域の同意もなく、エサやりをやる人が市に認められるようなこんな状況は変じゃありませんか?やったもの勝ちみたいな、「勝手に地域猫」状態をどんどん認めることになってしまいます。
 ここに、地元自治会が取り組んでおられるアンケートの一部があります。今回の問題を受けて、自治会としてアンケートを実施しようということになりました。現在、進行中のアンケートであります。一部の結果ですが、ご紹介をいたしますと、現在手元にある21通のうち、20通で野良猫の被害があると回答されています。これが地元の実態です。
 ここまで色々と申し上げましたが、私はこの地域猫という考え方は、ベストではないとしてもベターなのだろうと理解しています。きちんとその効果がデータで示せると良いのですが、それが無理だとしても、将来的に効果が出れば良いなあと思っています。
 私は、今回のこのような事件は本当に難しい課題だと感じました。動物愛護の精神は大事だと思います。私も猫など動物は大好きです。ですが、その猫に関する市の新たな方針によって、住民の中で新たな諍いが起こっているわけで、私としては何とも歯がゆく感じています。動物愛護の精神で野良猫を守ろうとする市民も、その地域に住む市民も、ともに快適に暮らせるようにはできないのかと、本当に頭を悩ませています。
 市は、これまでの野良猫対策の考え方の上に、この地域猫という考え方で新たな施策を実行してきている主体的な責任があります。その責任を十分に感じて頂いた上で、この地域猫施策に伴う二次的、三次的な問題にも十分に対処をしていただきたいと思います。糞や尿などに迷惑している住民をどう助けるのか、また動物愛護の方々に安心して活動をしてもらうためにはどうすれば良いのか、そしてなぜ苦情件数が減らないのか、それらの対策など、まだまだ課題がたくさんあると思います。
 今日のこの一般質問を機に、市民の皆さんに効果のある啓発活動を実行して頂きながら、明日がさらに快適な一日となるよう、市におかれましては格段の努力をお願いします。

前兵庫県議会議員 くりやま雅史 - 議会活動/一般質問/2009年12月10日 一般質問内容

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